| ─── | この記事のなかでも言われていることですが、 中村さんはよく、「伝わる写真」 っていうことを言われますよね? 撮られた人と撮った人以外の、 第三者的視点を前提にしたうえで。 |
| 中村 | ぼくは、写真ってやっぱり 「伝える」ための道具だと思っているので。 そして写真における技術っていうのは、 その「伝える」と力を より高めるためのものだと思っています。 たとえば写真家って、 ビールを撮る専門の人、 タイヤを専門に撮る人、 アイスクリームを専門に撮る人とか、 撮る被写体が専門のカメラマンの方が たくさんいるんですよ。 |
| ─── | その話は聞いたことがありますね。 詳しく聞かせてください。 |
| 中村 | どんな被写体でも、あるランクまでは、 基本的な技術さえあれば、 それなりに早く到達できるんです。 そのうえでアイスクリーム専門のカメラマンは、 そのアイスクリームはどうすれば 一番おいしそうに撮れるか、 味によっての印象の違いとか、 スプーンで削った雰囲気の違いについて 考え尽くして、 アイスクリームらしさって何なんだろう ってことを1日中、1年中やっているんです。 |
| ─── | アイスの変態ですね(笑)。 |
| 中村 | ある意味(笑)。 だからそういう人たちって、 もはやアイスを見る目が ぼくらとは違うんですよ。 何℃で管理した方が適切かとかいうことなんて、 あたり前のように知っています。 ぼくもそういうのを知っているので、 子どもらしさって 一体何だろうってことを 日々考えています。 子どもにはどういう表情があって、 どれをどこまで写せばいいのかと。 プロのカメラマンにとっては、 撮ることって、見ることと同義なんです。 対象をずっと意識し続けないと 見えてこないものがあり、 それによって、プロにしか 伝えることができないものが表れてきます。 だから一線で活躍している プロフェッショナルのカメラマンはみんな、 この分野に関してはこの人に撮らせた方が うまく撮れますねって、 客観的に判断すると思います。 そもそもプロのカメラマンってみんな、 どこから光が来ていて、それが何色の光で、 別のところから来ている光との差は どれくらいかっていうのが 分かっているんです。 だから、たとえ同じものを見ていても、 その段階で、ふつうの人と比べると 情報量が違うと思います。 細分化していて、深い。 |
| ─── | はぁぁぁ......。 だからこそ、惜しみなく、 撮りかたのコツを 教えちゃっても大丈夫なんですね(笑)。 そういった見ることの訓練法というのも あるんですか? |
| 中村 | うーーん、 たとえば料理の写真を撮り続ける主婦の方が、 ふだんまったく料理を撮らないカメラマンより 上手いってことはありえると思います。 撮り続けることで、 料理はココを捉えれば おいしそうに見えるとか、 こういうお皿に乗せれば よりいっそう引き立つとか、 この窓の近くで撮るといいとか、 そういうことが 経験として身に付いていくと強いからです。 写真が適切な明るさで、 背景もふんわりとボケていて、 構図もまあキマっている......というような 「ちょっと満足できるそれっぽさ」っていうのは、 写真の基礎ができれば すぐに到達できるんです。 よくママが撮るこどもの写真の表情が一番と言いますが、 それはママが、自分のこどものかわいいところを、 一番よく知っているからなんだろうなと思います。 |
| 第4回は月曜日にアップします! |
10年04月30日

